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すまい研究室一級建築士事務所
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井上さんのすまい(2017) マンションリノベーション
-間取りのない家-

竣工|2017年
場所|兵庫県西宮市
用途|個人住宅(マンション)
工事種別|リノベーション
構造|鉄筋コンクリート造
規模|専有面積 約62㎡
施工|株式会社ライトスタッフ
アドヴァイザー・建具制作|isDesign 岡田光司
写真|笹の倉舎/笹倉洋平

1977年に建てられたマンションの一室のリノベーション。

クライアントは30代半ばの夫婦と4歳の男の子の3人家族。優先順位のつけ方はクライアントによって様々だが、井上さんは最後までぶれなかった。とても開放的で簡素なこのすまいに井上さん家族の価値観が体現されている。

都心部ではクライアントの人生を圧迫するほど、住宅コストが高くつくことが珍しくない。それを回避するため、限られた空間の中で暮らすことを選択しながらも豊かなすまいであることを、クライアントと共に僕自身も求めていきたいと日々模索している。

将来にかけて高いコストを払わずに豊かなすまいであり続けられるよう考えると、こどもの成長というダイナミックな変化に対応できる仕組みであること、経年変化が楽しめる素材を選ぶこと、クライアント自身が手を入れやすいすまいであることが必要になる。

そのため、この井上さんのすまいは「間取りのない家」となった。ひとつながりにした空間に、敷居と鴨居を巡らせてあり、必要に応じて建具によって間仕切っていく。置き畳を移動させて、昼は居間として楽しみ、夜は布団を上に敷く。敷居や鴨居、置き畳などの和の構成要素が、ニーズと合致した。こどもが小さい間は個室を必要としないので、開け放してワンルームにする状態がしばらくは続きそうだ。

経年変化が楽しめる素材の代表は、木材だろうと思っている。入手しやすさ、加工のしやすさ、手触りの魅力、コストパフォーマンスなどを考えると抜きん出ている。また大変愛されている素材でもある。木材はクライアント自身も簡単に加工することができる。コストのこと、また生活によってすまいに味わいを加えるためにも、DIYはとても重要であると考えている。よって、井上さんのすまいは木材を多用し、直感的に把握できるつくりであるよう心掛けた。

すまい研究室では空間の設計だけでなく、暮らし方を提案するよう心掛けている。その一環として、マンション一室リノベーションを行った自宅 兼 事務所をモデルルームにして実際の暮らしをイメージできるようにしている。ひとつながりの空間に「動かせる部屋」と「動かせる収納」を配置し間取りを変えられる仕組みにしている。井上さんもモデルルームをみて共感されたことが依頼のきっかけとなった。すまいは住み手自身がどんな価値観で生きているのかを反映する率直な鏡であるように思う。完成直後の状態の完璧さを求めても、それはすまいの美しさには必ずしもつながらない。

時間をかけて形を変えながら楽しんで暮らしてもらえれば設計者として嬉しい。どんな条件でも実用的な機能を備えた美しさを提案できる、長く付き合える設計者でありたいと願っている。(丹羽洋文)
Data

一般住宅設計 | 丹羽洋文

種別 | リフォーム・リノベーション

構造 | 鉄筋コンクリート

予算 | 700万円

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