人を結ぶ「温かな居場所」

滋賀県・守山駅前という利便性の高い立地に位置する、15坪（52.19㎡）の小さな飲食店。この限られた空間に求められたのは、単なる食事の場を超え、街の人々が自然と集い、心から安らげる「現代の茶の間」のような居場所の創出です。

空間構成の核となるのは、木・石・タイルといった、生命力を感じさせる自然素材の調和です。力強い木目が美しい無垢材のテーブルやカウンターは、触れるたびに温もりを伝え、ゲストに深い安らぎを与えます。足元に広がるシックなタイルや石材は、空間に程よい重厚感と品格を添え、異素材が共鳴し合うことで、小規模ながらも奥行きのある豊かな風景を編み出しています。

限られた面積を最大限に活かすため、動線と視線の抜けを緻密に計算しました。一人で静かに過ごせるカウンター席、そして仲間と語らうテーブル席。それぞれのエリアを緩やかにゾーニングすることで、他者の気配を感じながらも自分だけの時間に没入できる、絶妙な「おさまり」の良さを追求しています。

自然素材の質感を優しく照らす柔らかな光は、内装に陰影を与え、訪れる人々を包み込むような情緒的な雰囲気を演出します。ここへ来れば誰かがいて、美味しい料理と共に心地よい時間が流れている。そんな「みんなの居場所」として、街に灯をともし、末永く地域に愛され続ける空間を目指しました。